COLUMN
ゴーグ・設定時のささやかな思い出
文芸制作:風間洋
時代は紛れもなく「マンガ」でも「ロボット」でもなく「シリアス」で「リアル戦闘メカ」に向いていた。
にもかかわらず、創り手もファンも、いつの間にか忘れていた「子供の味方である巨大ロボット」「ワクワクと胸踊り、次回が待ち遠しくなる物語」。そんな作品が作りたいと何処かで思っていた連中がいた。
ある日、安彦さんからリライトを任された企画書の原案にはそんな想いが詰まって
そして「今、そんなロボットが作れるのは(描けるのは)、やっばり安彦さんしかいない」という確信を持ったスタッフ達。
確信犯の『時代錯誤』。でも、みんな、それでいいと思っていた。
『巨神ゴーグ』を見掛けた大人が、一瞬でも立ち止まって、ロボットアニメには、こう言うエンタティナーもあったってことを思い起こしてくれればいい。
やがてリアル志向のアニメを見て行くだろう世代の子供たちに『暖かいもの』の素敵さも胸の奥に刻んでおいて欲しい。
そんなスタッフのささやかな野望を頭上に乗せて、青い巨神はその一歩を踏み出したのだ。
風間 洋(かざま ひろし) プロフィール
東京都杉並区生まれ。
1975年、サンライズ(当時・サンライズスタジオ)に学生バイトで所属。製作現場の各作業補佐及び広報素材整理などを担当。1977年より、作品契約にて『無敵超人ザンボット3』『ザ☆ウルトラマン(円谷製作協力作品)』等の設定助手を務めた後、正式に『企画室』に所属。『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘ロボ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』等の設定制作、『重戦機エルガイム』の広報、脚本、『巨神ゴーグ』では文芸設定制作を担当。その後は企画開発専任として『機動戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝サムライトルーパー』などの企画に携わる。1989年にフリーとなり、文筆ペンネームの『河原よしえ』名で著作活動等を行っている。
自称『サンライズのシーラカンス』